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論より詭弁 反論理的思考のすすめ 香西秀信 感想

正直言って、私は、生真面目な動機から、論理的思考について学ぼうとする人間が好きではない。そういう人間に限って、論理的思考力の効能を固く信じ、正しい議論を真剣になってやろうとする(ディベートの訓練をしている人など、大抵そうだ)。だが、議論に世の中を変える力などありはしない。もし本当に何かを変えたいのなら、議論などせずに、裏の根回しで数工作でもした方がよほど確実であろう。実際に、本物のリアリストは、皆そうしている。世の中は、結局は数の多い方が勝つのである。 論理的思考力や議論の能力など、所詮は弱者の当てにならない護身術である。強者には、そんなものは要らない。いわゆる議論のルールなど、弱者の甘え以外の何ものでもない。他人の議論をルール違反だの詭弁だのと言って非難するのは、「後生だから、そんな手を使わんで下され」と弱者が悲鳴を上げているのだ。そして、そのような悲鳴にすぎないものを、偉そうに、勝ち誇って告げるのも、また弱者の特徴である。

 

序盤の内容から引用しました。序盤から面白いですね。この本を真剣に読もうとしている読者を真っ先にバカにしています。味わいがあります。

 

われわれが議論するほとんどの場において、われわれと相手との人間関係は対等ではない。われわれは大抵の場合、偏った力関係の中で議論する。そうした議論においては、真空状態で純粋培養された論理的思考力は十分には機能しない。

 

論理的思考の専門家がこう言っているのですから、論理的思考なんて実生活の役に立つものではないのかもしれませんね。

 

本を読んでいてためになったのが、言葉の定義をひたすら聞いてくる人に対しての反論です。言葉の定義を聞けば反論に困るだろうと考えている人に対して

「あなたの〇〇の使い方と同じだと思ってくれてかまわない」

と答えればいいと書いてありました。これは勉強になりました。今後機会があれば使おうと思います。

 

著者の論理的思考に対するボヤキが多く書かれていて面白かったです。参考になりました。