第9回開高健ノンフィクション賞を受賞した本です。
内容はフィリピンに移り住んだ日本人を取材したものになります。
正直言って読んでいて面白いとは思いませんでした。内容が暗いのもありますが、あまり読了後の気分がいい本ではありません。
私は文庫版を読んだので橘玲氏の解説が載っていたのですが、その解説を読んで少し納得できる部分がありました。引用させていただきます。
ここに登場するのはみんな「どうしようもない男たち」で、そんな彼らと徹底してつき合ったところに本書のノンフィクションとしての価値がある_すくなくとも水谷氏以外、これまで誰もそんなことをしようとは思わなかったのだから。
この本には、なるべくして困窮邦人になったのだなと思わせられる人しか登場しません。こちらから救いの手を差し伸べたい助けたいと思うようなまともな人がいません。お金にだらしなかったり女性関係に問題があったり嘘つきだったりどうしようもありません。基本的に信用できる人間がでてきません。
ただしそんな彼らでも懸命に生きています。自己責任でばっさりと切り捨ててしまうことができない人間として守られるべき最低限の人権がそこにはあります。
確実に多くの人からは見捨てられてしまうような人でも、フィリピンでは助けてくれるようです。フィリピンでは困っている人は助けなければいけないという文化があるそうです。そうやってどうしようもない困窮邦人がフィリピンでは助けられています。中途半端にお金を持っていたりすると助けてもらえないみたいですが本当に困っている人は助けてもらえるみたいです。不思議な文化ですね。
この本を読んでもいい気分にはなれないしダメな人間のダメな人生が覗けるだけですが、ダメな人間に興味があるとか貧困問題に興味がある人は読んでみてもいいかもしれません。考えさせられる本ではあります。
私はもう読みたくないです。読んでいて嫌な気持ちになりましたし、この本に登場してくるどうしようもないような人たちについて考えたくないです。
開高健ノンフィクション賞を獲っている本なので面白いかなと思って読んでみましたが、ハズレでした。気分が悪くなりました。残念です。